先日、急な用事で長崎まで行くことになり、博多から長崎まで初めての「西九州新幹線(長崎新幹線)」に乗車してきました。
2022年9月の開業以来、ようやくにして乗車するチャンスの到来です!
そこで今回は、何かと気になる「武雄温泉駅での対面乗り換え」や、料金、乗り心地などについてレポートします。
ぜひ、これから西九州新幹線のご利用を考えている皆様の参考にしていただきたいと思います。
西九州新幹線(長崎新幹線)について

- 【ルート】博多駅⇔[リレーかもめ(在来線特急)] ⇔ 武雄温泉駅(対面乗換) ⇔ [西九州新幹線]⇔長崎駅
- 【所要時間(最短)】 1時間20分 (リレーかもめ 54分 + 乗換 3分 + 新幹線 23分)
- 【正規料金(通常期)】 6,490円 (乗車券3,300円+指定席特別料金3,190円)
2022年9月23日に開業した西九州新幹線(長崎新幹線)ですが、残念ながら博多から長崎までが全て新幹線規格でつながっているわけではありません。
そのため、途中の武雄温泉駅にて、同じホーム上での在来線と新幹線の「対面乗り換え」が必要となります。
所要時間は、最短の場合で1時間20分となり、以前の「特急かもめ」時代から約30分の短縮です。
ですが、これにはちょっとしたトリックがあって、接続が最もスムーズな「再速達便」の場合であり、実際には、1時間30分~1時間45分程度かかってしまう便も多く存在します。
割引なしの正規料金については、「特急かもめ」時代の総額4,800円(普通車指定席)から、西九州新幹線では6,490円(普通車指定席)へと大幅にアップしています。
西九州新幹線の割引きっぷ
割引きっぷは3種類
JR九州といえば、事前のネット予約で大幅に安くなる割引きっぷで知られており、この西九州新幹線でも3種類の割引きっぷが設定されています。
- 「私たちも、かもめ。早特7」 3,400円 (乗車7日前までの購入が必要 )
- 「かもめネット早得3」 3,850円 (乗車3日前までの購入が必要)
- 「かもめネットきっぷ」 4,500円 (当日でも購入可能)
早く購入する分だけ安くなるとてもシンプルな仕組みです。
また、購入期限日以内であれば便の変更や座席の変更も可能です(※割引種別ごとに制限あり)
「ネット予約で割引」が基本のJR九州
すごく乱暴な言い方になりますが、「JR九州では当日にみどりの窓口で買える割引きっぷなどほとんど無い!」というのが九州民の普通の感覚です。
これは、JR九州ではかなり早い時期から「割引きっぷは基本的にネット予約で!」という方針をとってききたからです。
しかも、その仕組みも凄くシンプルで、基本的には、
「指定席特急券と乗車券がセット」
「乗車日の7日前、3日前、当日で区切って価格が安くなる」
というもので、複雑怪奇なJR東日本のえきねっと等のやり方とは一線を画した単純明快さです。
JR九州の「ネット予約」利用には登録が必要です
JR九州の「ネット予約」は独自のシステムを使っているため、JR東日本の「えきねっと」やJR西日本の「e5489」で予約しても割引が適用されません。
JR九州の「ネット予約」を利用するためには、基本的に以下の準備が必要です。
(1) JR九州のインターネット予約「Web会員」に会員登録する
(2) 予約サイト内で決済用のクレジットカードを登録する
(※カードを登録せずにコンビニ決済、銀行ATM振込、みどりの窓口での支払いも可)
【公式】 JR九州 インターネット列車予約のご案内
たったこれだけ、しかもPCからでもスマホの「JR九州アプリ」からでも簡単に登録できます。
オンラインでの決済方法はクレジットカードですが、デビットカードでも登録・決済が可能です。
※コンビニ決済・銀行ATM振込・みどりの窓口支払いにも対応していますが、実際には予約・座席の変更や払い戻しに制約があるので、ここではオンラインでのカード決済で話を進めます
座席の指定、便の変更(※割引の各種別によって制限あり)も、ネット上で簡単にできてしまいます。
ネットで予約・決済して、きっぷは各駅の自動券売機で受け取る形になります。
この受け取り時に、決済で使用したクレジットカードが必要になるので要注意です!
また、2025年からは、QRコードでのチケットレスサービスも始まりました。
九州以外から観光などで訪れる方も、事前に会員登録しておくだけでネット予約の大幅な割引の恩恵にあずかることができます。
高いと感じたら高速バス「九州号」へ
いくら割引きっぷが設定されているとはいえ、どうしても西九州新幹線は割高に感じてしまいます。
というのも、かつての在来線の「特急かもめ」時代はネット予約の最安(九州ネット早得7)がなんと2,340円(しかも指定席)で乗れたからです!
たった30分の時間短縮(実際はもっと少ない短縮効果…)のために、ここまで割高になってしまったのは、ちょっと残念な気がします。
そこで、西九州新幹線は正直言って高すぎるなあ…と感じたら、福岡~長崎間を競合する高速バス「九州号」の利用も視野に入れるのが賢明かと思います。
詳細は下記の別記事に書いてありますが、九州号では最安料金は2,250円(web回数券1枚分)、所要時間は最速2時間7分(福岡天神~長崎駅前)とかなり魅力的です。
実際に西九州新幹線に乗ってみた!
それでは、ここから西九州新幹線の乗車レポートです。
(※料金や割引にのみに興味のある方は、ここからはスルーしてかまいません)
当日は本当に急に長崎へ行かなければならなくなったため、「私たちも、かもめ。早特7」や「かもめネット早得3」などの予約はできませんでした。
そこで、当日でも予約可能な「かもめネットきっぷ」をネット予約しようとしたのですが、なんと乗車予定の時間帯の便は指定席が全て満席。
仕方がないので、本来指定席の「かもめネットきっぷ」を『自由席』で予約するという、もったいない公式裏ワザを使うことにしました。
JR九州のネット予約は、こういうことまで割と柔軟にできるようになっています。
乗車したのは、博多駅10:04発の「特急リレーかもめ17号+新幹線かもめ17号」。
1日に数本しかない、貴重な所要時間1時間20分の最速達便です。
自由席なので、早めに博多駅の在来線ホームに上がりますが、もうすでに人が並んでいます。
急いで自由席待ちの列に加わりましたが、後ろにもどんどん人が並んでいきます。

しばらくすると、「元・白いかもめ」の885系が堂々の入線。
ドアが開き、急いで中へ乗り込んで、なんとか窓側の座席を確保します。
見る見るうちに残りの座席は埋まっていき、なんと自由席もほぼ満席になってしまいました!
デッキには立ち乗りのお客さんまでいる様子。
車内をよく見ると、自由席の乗客の半数以上が外国人観光客の方々のようです。
列車は定刻通りに博多駅を発車して、鳥栖、新鳥栖、佐賀に停車しながら軽快に進みます。
この辺りは、特急かもめ時代にも乗っていて、見慣れた車窓が広がっています。

885系の座席は普通車でもゆったりとした造りで、電源コンセントが設置されているのも便利。
列車自体はかなり揺れますが、この重厚感のあるシートのおかげもあって快適に過ごせます。
いよいよ「対面乗り換え」へ
江北(旧・肥前山口)から先は、佐世保線に入ります。
そして、意外にあっさりと武雄温泉駅に到着、ここまで54分です。
この駅では、例の「対面乗り換え」が行われます。
実はこのとき、私は少々焦っていました。
というのも、特急リレーかもめの自由席がほぼ満席で、デッキ立ち乗りのお客さんもいたため、乗り換えた先の新幹線車内でも同じような状況が繰り広げられるのではないかと心配だったのです。
また、降りた先の対面の車両が自由席でない場合は、ホームをかなり歩いて自由席まで移動しなければなりません。
そこで、武雄温泉駅到着の少し前から席を立って、デッキで待機します。
駅に入線すると、ホームの反対側に、白と赤のボディーがひときわ目立つにのN700S系の車両が待機しています。
ドアが開くやいなや、(決して走らずに)速足で、向こう側に見える新幹線の車両を目指します。
初めての対面乗り換えの感覚や、武雄温泉駅のホームの風景を味わう余裕など全くありません。
ああ、なんともったいない初乗車…
幸い、向かい側の車両は自由席で、窓側の座席を確保することができました。
ただし、風景の良い、長崎に向かって進行方向右側の座席(D席)は見事に埋まっていました。
さすが皆さんポイントがよく分かってらっしゃいます!
多分、快適。そして、あっけない。
定刻通りに、乗り換え時間3分で「西九州新幹線かもめ17号」は長崎へと動き出しました。
さすがは新幹線、スムーズな加速です。
そして、全然揺れません!
さっきまで乗ってきたリレーかもめの揺れっぷりとは大違い。

しかし一方で、奇妙な違和感があります。
座席の座り心地がイマイチなのです。
なんだか「ペラペラ」なシートで、やたら固く感じるのです。
新幹線の普通席はこんなものだよ、と言われるかもしれませんが、とにかくペラペラの薄いシート。
正直、直前まで乗ってきた在来線特急の885系の普通席のシートのほうが、数倍快適です!
似たような薄いシートの感触としては、「京成スカイライナー」がとてもよく似ています。
「そもそも乗車時間が短いので、このくらいのシートで十分!」という設計思想が同じなのか?
そうこうしているうちに、いくつものトンネルを抜けて、列車は新幹線区間内最高にして唯一の眺望スポットである新大村付近を通過します。

大村の市街の向こうに、穏やかな大村湾の景色が広がります。
その大村湾に浮かぶ海上空港である長崎空港の姿も、意外と近く見えます。
しかしながら、トンネルだらけの西九州新幹線で、まともな眺望は本当にここだけでした。
列車は、諫早で短く停車した後、次のトンネルを抜けると、車窓にはもう長崎の市街地が飛び込んできました。
そして、なんだかよく分からないままに、気がつけば長崎駅に到着していたのでした。

それもそのはず、武雄温泉駅を出てから、わずか「23分」しかかからなかったからです。
短いというよりは、まさに「あっけない」という表現のほうが似合う新幹線区間の乗車でした。
まとめ
初めて西九州新幹線に乗車してみましたが、感想としては「そこそこに快適」という感じです。
なぜ「そこそこ」かというと、やはり「対面乗り換え」の不便さを感じてしまうからです。
初めて長崎へ向かう方や、新幹線開業以前を知らない方ならば「対面乗り換えはそんなに苦ではない」と感じるかもしれません。
しかし、以前の「特急かもめ」時代にこの区間を何度も経験して、乗り慣れていた人たちにとっては、正直言って「対面乗り換え」は不便です。
なにしろ、それまでは乗換なしで一本で博多~長崎間を楽々移動できて、所要時間もそれほど変わらず(最速1時間58分)、料金に至っては遥かに安かったのですから。

そして、特に今回は、「自由席」での乗車になったため、余計に乗り換えの煩わしさを実感する形になってしまいました。
ですから、西九州新幹線に乗車される方は、必ず「指定席」で乗ってください!
他の新幹線と同じように「どうせ始発駅から乗るので、自由席でも大丈夫だろう」という甘い感覚で乗ると、対面乗り換えで思わぬ苦労をしてしまいます。
それにしても、武雄温泉駅~長崎の新幹線区間のスピードは圧倒的です!
皆さんも、この「あっという間感」を体験しに、ぜひ西九州新幹線に乗車してみてください。